COLD TALK
「以上です。ぬかりなく願いますよ。」
「了解…。」
ある日の生徒会室。
悪役達が悪巧みをするような会話で古泉の用件は終了した。
持っていた書類を手渡すと、
古泉は早々に踵を返そうとする。
それを止めたのは、こちらも早々にキャラクター設定を解除した不良少年だった。
「吸ってくか?おっさん。」
タバコを差し出しながら言った台詞に、
眉間の皺を形成しつつ。
古泉はタバコに手を伸ばした。
「全く失礼なガキですね。」
一本手にとると慣れた仕草で口につけると、
投げられたライターを受け取り火をつける。
「タバコは久しぶりだろ、優等生やってんだから。」
「そうですね。真面目な高校生のつもりですから。」
「言ってて虚しくならないか。おっさん。」
「それやめて下さい。
僕はまだ23ですよ。」
「17から見れば十分おっさんだ。」
「今の発言森さんに報告しましょうか?」
「…言い過ぎたな。」
どうやら不毛な言い争いの軍配は決まったようだ。
会長もタバコをくわえると無言で吹かす。
少し時間がたち、古泉のタバコが減り始めた頃。
古泉は火を消しながら口を開いた。
「…最近彼とよく話すようですね。」
「…ああ。たまにな。」
「週一回はたまにとは言いませんが?」
わざわざ刺を見せる言葉に、鼻を鳴らせて会長は笑った。
「どうせ調べはついてるんだろ。」
「ええ。何時何分から何分会ってたかという程度には。」
「おっさんでホモでストーカーか。救いようがねえな。」
「あなたに言われたくはないですよ。」
互いに冷ややかな視線交わしたあと。会長は視線を外に向けた。
「…あいつといると救われるような気がするからな。」
「…つくづく同感ですよ。不本意ですが。」
「ああ、オレも不本意だ。」
同族嫌悪に近いかもな、と多分同時に思いながら。
古泉は今度こそ踵を返した。
「彼に金輪際近づくな…とまでは言いませんが。
回数を控えてもらいますよ。彼女がうるさいんでね。」
「ああ、分かった。」
「おや、意外に素直ですね。」
「あの女が怖いわけじゃない。お前と違ってな。」
会長は古泉を振り返りながらタバコを消した。
「ただそれで ここを辞めさせられる のが嫌なだけだ。」
「 …。」
少し笑みを深くして古泉は生徒会室を出た。
「しゃべりすぎたな。」
自嘲するように会長も
笑みを浮かべた。
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「やれやれ…。」
困ったものだと思う。
子どもに振り回されてばかりで。
いや、どちらが大人なんだか。
それでも。
「恋愛には大人も子ども ない…か。」
あの大人びたガキも、神の力を持つ彼女も。
子どもの恰好をする自分も。
彼への想いは確かに同じだから。
「本当に、困ったものですよ。」
end
成人古泉設定が生かせずでしたが、結構楽しんで書いてました。
古泉と会長の掛け合いがつくづく大好きですvv
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